カーソル線とテキスト選択

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2016年01月12日10:10更新
2016年01月11日17:00追加

カーソル線とテキスト選択

日本製のテキストエディタはテキストの表示中にカーソル行であることを強調するために下線(カーソル線)をつけることがある。海外のテキストエディタについては多くを知らないが、カーソル線ではなく、もっぱら、他の行と異なる背景色でカーソル行を強調する方法を採用しているようである。

カーソル線はカーソル行の下端に水平線を引く下線であることがほとんどであるが、カーソル行の上端に引く水平線、カーソル(カレット)位置の文字の左側または右側に引く鉛直線もここではカーソル線に含めることにする。

マウスやキーの操作で選択されたテキストは、文字列と背景色が他のテキスト部分とは異なる色を呈し選択されている範囲がわかるように強調される。カーソル線はオプションによって表示するか否か設定できるところは共通である。テキスト選択中、カーソル位置は上下左右に動くことになるが、このとき、カーソル線はどのような動きをみせるのか、いくつかの日本製テキストエディタについて調べてみた。

以下に示すようにいくつかパターンがある。ただし、そもそもカーソル線を表示する機能がないテキストエディタについては、ここでは取り上げないことにする。

  1. 鈴川エディタはカーソル行の上下に水平線、カーソル位置の文字の左側に鉛直線を表示し、カーソルの動きと共に水平線と鉛直線も上下左右に移動する。
    二つ以上にウィンドウを分割した場合、カーソル線の色はアクティブウィンドウでは赤色、その他の分割ウィンドウでは青色に区別して表示される。
  2. MIFESはカーソル行の下線とカーソル位置の文字の左側と右側に鉛直線2本を表示し、カーソルの動きと共に水平線と鉛直線も上下左右に移動する。
    このテキストエディタはウィンドウを上下または左右に2分割できるが、分割時にカーソル線はアクティブウィンドウでは表示されるが、非アクティブウィンドウでは表示されない。
  3. テキスト選択中、下線は表示を維持しながらカーソルの動きと共に上下に移動する。鉛直カーソル線の表示機能はない。
    この動きをするテキストエディタは以下の通り。順不同。 すべてのテキストエディタを調べたわけではない。ほかにもあるかもしれない。
  4. テキスト選択中、下線と鉛直線は表示を維持するがカーソルの動きに関係なく選択開始位置で固定したまま動かない。
    この動きをするテキストエディタは以下の通り。 このテキストエディタは最近までFと同じ動作をしていたのだが、AまたはBに向かって改良を試みたが果たせず中途半端な動作になったものと考えられる。
  5. テキスト選択中、下線は表示を維持するがカーソルの動きに関係なく選択開始位置で固定したまま動かない。鉛直カーソル線の表示機能はない。
    この動きをするテキストエディタは以下の通り。 このテキストエディタもDと同様に、Cと同じ動作を希望して改良を試みたが果たせず中途半端な動作になったものと考えられる。
  6. 下線はテキスト選択が開始されると消去され、テキスト選択が解除されると表示される。鉛直カーソル線の表示機能はない。
    A~Fのうち、このパターンが一番多い。
    この動きをするテキストエディタがほとんどであるが、以下にその一部を示す。順不同。

上記のA~Fはそのままプログラムの難度を示している。Aが一番難しく、Fが一番やさしい。カーソル行の水平線や鉛直線は表示しないより表示するほうがプログラムが難しいのである。テキスト選択中に水平線や鉛直線が消去されるより表示されたままでいるほうがプログラムが難しいのである。テキスト選択中に水平線や鉛直線が同じ位置にじっとしているよりカーソルの動きに追随して動くほうがプログラムが難しいのである。アクティブウィンドウと非アクティブウィンドウでカーソル線の色を区別しないより区別するほうがプログラムが難しいのである。

テキスト選択中のカーソル線の挙動は些細なことでありテキストエディタの基本的な機能に大きく影響するものではないが、それをどのように取り扱うかはソフトウェア開発者の姿勢を物語る一例であると考えている。



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